NANJO SELECTION
このほど、N&A Art SITEにおいて、NANJO SELECTIONという現代美術展のシリーズを開始します。
長年、現代美術の普及に尽力し、その間多くの作家、作品に出会ってきましたが、それでもまだ新しい発見を求めて、内外多数の展覧会を見て歩いています。そして多くの作品に出会い、作家との対話を重ねた中から、表現上の独自の発展を模索し、成果を上げ始めている比較的若手の作家に焦点を当て、その活動を紹介していきたいと思います。
現代美術は常に新しい表現を求め躍動していますが、シンプルな作品の中にも深い思考があり、大衆性と流行の中にも普遍性が宿り、科学や哲学との協働が新しい表現技術を生み出すこともあります。現代美術の現場では、社会や人心の変化、科学技術の発展などを反映して実に多様な表現が試みられており、その状況に目を向け紹介するのがこのシリーズです。
いま日本は、新たに創造産業を振興すべき状況に直面しています。そのなかでもアートは極めて先鋭な模索と実験の場となっており、他の創造産業に対する影響力にも多大な物があります。決して万全とは言えない日本のアート環境の中で、新しく登場した作家たちの意義ある業績を美術史の文脈の中に位置づけながら国際的に紹介していくことは、日本の美術業界の喫緊の課題だと思われます。
1年に4人程度の作家を逐次ご案内申し上げます。ぜひご覧ください。
南條史生
Curator Profile
南條史生 /
Fumio Nanjo
慶應義塾大学経済学部、文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。
エヌ・アンド・エー株式会社代表取締役。
国際交流基金等を経て2002年より森美術館副館長、2006年11月より館長、2020年1月より特別顧問。過去にヴェニス・ビエンナーレ日本館(1997)、台北ビエンナーレ(1998)、横浜トリエンナーレ(2001)、シンガポール・ビエンナーレ(2006、2008)、茨城県北芸術祭(2016)、ホノルル・ビエンナーレ(2017)等でアートディレクションを歴任。
近著に「アートを生きる」(角川書店、2012)がある。