NANJO SELECTION vol. 6 開催のお知らせ
「NANJO SELECTION」の第6弾として、N&A Art SITEにて長谷川彰宏 個展『無量光』を2024年11月1日(金)から11月30日(土)まで開催いたします。
開催概要
展覧会名: NANJO SELECTION vol. 6 長谷川彰宏 個展『無量光』
会期: 2024年11月1日㈮ – 11月30日㈯ 12:00-17:00 (日)(月)(祝)休
会場: N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分)
主催: エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社
協力: √K Contemporary
作家ステートメント
5、6年ほど前から、アクリル板に油絵の具で描画をする絵画を制作してきました。今回はそのアクリル板シリーズの抽象画を中心に展示をします。 アクリル板という支持体に私が惹かれる理由のひとつとして、アクリル板特有の“光”の表現が可能であることがあります。強い照明を当てると、絵画それ自体が内部から光っているかのような、一種デジタル的な視覚的効果を生む事ができ、私はここに新たな視覚表現の可能性を感じています。
“光”は私にとって最も重要なモチーフです。仏教では“光”というテーマが至る所で出て来ます。西方極楽浄土の仏として有名な阿弥陀如来は、サンスクリット語でAmitābha(アミターバ)を音写したものですが、その意味は“無限の光”であり、「南無阿弥陀仏」とは“無限の光”への帰依だと言えます。
過去にも様々な仏像や仏画によってその“光”が表現されて来ましたが、私は現代の人間として、アクリル板を使った“無限の光”の再解釈が出来ないかと考えています。例えば、Haloというシリーズでは仏像の後ろに作られる後光をモチーフに私なりの抽象化を試みています。
光はどの時代のどんな地域でも最も重要なものでありました。過去の人たちが苦心して様々な“光”の表現を確立して来たことに敬意を持ちつつ、私なりの“光”の再解釈をこの機会にご覧いただければ嬉しく思います。
長谷川彰宏
長谷川彰宏について
長谷川彰宏は天台宗系の寺院の19代目で、2009年に10歳で得度(出家)している若いアーティストです。 人体のイメージから色彩の豊かな抽象絵画まで、幅の広い表現を渉猟し、その技法も支持体にアクリル板を使うなど、多様な実験を試みています。その結果、彼の作風には光が満ち、透明感があり、二次元の中にも不思議な奥行きのある独自の世界が創り出されるようになりました。 その背後には、華厳経や来迎図といった仏教的なヴィジョンとイコノグラフィーがあり、その点で現代美術として独自の世界を築いています。アートは元々宗教とは深い関係にありました。東洋ではガンダーラの仏像も初期仏教美術であり、ヨーロッパの中世もまたキリスト教美術で彩られていました。現代において仏教がテーマである事には、また新しい意味が生じるかもしれません。 彼の作品には光をたたえた透明な美しさがあります。それは宗教全般に見ることができる崇高という概念に通じていくように思われます。今後長谷川の作風がどのような道筋をたどり,発展していくのか興味深いところです。 本展では、この半年に制作された新作絵画を中心に展示いたします。どうぞお楽しみください。
南條史生
アーティストプロフィール
1997年三重県出身。 天台宗系の寺院に生まれ、2009年に得度し、2019年に天台真盛宗西教寺にて四度加行満行。2016年東京藝術大学デザイン科に現役入学。2020年に同大学院美術研究科デザイン専攻へ入学し、2024年に修了。大学院在籍中にクマ財団5期生に選出され「KUMA EXHIBITION 2022」に出展。2023年には、現代アート専門番組【MEET YOUR ART】に出演。「Meet Your Art Festival 2023」に出展。2024年には大学院修了後初となる個展を√K Contemporary(東京)にて開催。 感情、思想、身体、そして生命の存在に対して俯瞰した視点を持つ長谷川の作品群は、彼の根幹をなす仏教思想から得た独自の姿勢が垣間見え、死生観や人間の存在そのものを問いかける。幼少期から“光”に視覚的にも思想的にも強く惹かれてきたという長谷川は、その原体験を作品に落とし込み表現している。