無量光
長谷川彰宏 個展
長谷川は、仏教思想を背景とした人物画や、アクリル板を支持体とした抽象的な油彩作品など、多彩な表現で注目を集める作家です。天台宗系の寺院に生まれ、2009年に得度、2019年には天台真盛宗西教寺にて四度加行を満行、またアーティストとして、東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻在籍中から精力的な活動を行っています。その幅広い表現には長谷川の根幹にある仏教的思想が感じられ、透徹した人間観や死生観が一貫して表現されています。近年では、大学院終了後初の個展を√K Contemporaryで開催(2024)、「Meet Your Art Festival」出展(2023)など、活躍の幅を広げています。
本展では、視覚的にも思想的にも長谷川が幼少期から強く惹かれてきたという「光」を表現した色鮮やかな油彩作品を中心に、本展に向けて制作された新作約12点を含む、約17点の作品を展示いたします。
開催概要
展覧会名: NANJO SELECTION vol. 6 長谷川彰宏 個展『無量光』
会期: 2024年11月1日㈮ - 11月30日㈯ 12:00-17:00 (日)(月)(祝)休
会場: N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分)
主催: エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社
協力: √K Contemporary
長谷川彰宏について
長谷川彰宏は天台宗系の寺院の19代目で、2009年に10歳で得度(出家)している若いアーティストです。
人体のイメージから色彩の豊かな抽象絵画まで、幅の広い表現を渉猟し、その技法も支持体にアクリル板を使うなど、多様な実験を試みています。その結果、彼の作風には光が満ち、透明感があり、二次元の中にも不思議な奥行きのある独自の世界が創り出されるようになりました。
その背後には、華厳経や来迎図といった仏教的なヴィジョンとイコノグラフィーがあり、その点で現代美術として独自の世界を築いています。アートは元々宗教とは深い関係にありました。東洋ではガンダーラの仏像も初期仏教美術であり、ヨーロッパの中世もまたキリスト教美術で彩られていました。現代において仏教がテーマである事には、また新しい意味が生じるかもしれません。
彼の作品には光をたたえた透明な美しさがあります。それは宗教全般に見ることができる崇高という概念に通じていくように思われます。今後長谷川の作風がどのような道筋をたどり,発展していくのか興味深いところです。
本展では、この半年に制作された新作絵画を中心に展示いたします。どうぞお楽しみください。
南條史生
Artist Profile
長谷川彰宏 /
Akihiro Hasegawa
11997年三重県出身。
天台宗系の寺院に生まれ、2009年に得度し、2019年に天台真盛宗西教寺にて四度加行満行。2016年東京藝術大学デザイン科に現役入学。2020年に同大学院美術研究科デザイン専攻へ入学し、2024年に修了。大学院在籍中にクマ財団5期生に選出され「KUMA EXHIBITION 2022」に出展。2023年には、現代アート専門番組【MEET YOUR ART】に出演。「Meet Your Art Festival 2023」に出展。2024年には大学院修了後初となる個展を√K Contemporary(東京)にて開催。
感情、思想、身体、そして生命の存在に対して俯瞰した視点を持つ長谷川の作品群は、彼の根幹をなす仏教思想から得た独自の姿勢が垣間見え、死生観や人間の存在そのものを問いかける。幼少期から“光”に視覚的にも思想的にも強く惹かれてきたという長谷川は、その原体験を作品に落とし込み表現している。